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2018.11.15 家庭用ゲーム 電撃オンライン

【電撃オンライン×βeater’s cafe連動企画】
プロデューサー直撃インタビュー第四回:二見プロデューサー(Vol.4)公開!

タイトルごとに『SAO』ゲームを振り返る(その1)

二見 鷹介プロデューサー
▲二見 鷹介プロデューサー
二見さんに、今までの作品についても質問してみたいと思います。まずは『インフィニティ・モーメント』から。本作は《アインクラッド》第75層以降の話で、原作やアニメと時間の流れが枝分かれするような話ですが、どうしてああいう形にしたのでしょうか?
二見 すごくわかりやすいですよ。『SAO』はアニメの1期で、《アインクラッド》編と《フェアリィ・ダンス》編を作りましたが、時間的な問題でゲーム2本を立て続けに作れなかったんですよ(苦笑)。
なので、まずは《アインクラッド》編からということになりました。でも、ゲームが出るのはアニメが終わってからと決まっていますので、アニメを見た人たちは《アインクラッド》の話で何が見たいのかな? と考えることにしました。僕だったら純粋に“第75層の先の話”が見たいなと。
それって、アニメでも原作では描かれていないし、ゲームでしか体験できないことですよね。そんなわけで、ゲームではキリトたちに第75層より上に行ってもらうことにしました。何より僕も見てみたかったんですよ(笑)。
『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』で100層ボスなども登場しましたが、ゲームではそれ以前にやっていますもんね。
二見 劇場版でシリカちゃんがやられるドラゴンいるじゃないですか。うれしいことに、あれは『インフィニティ・モーメント』に登場したやつなんですよ! 言ってくれれば、もっと素材を提供できたのに!(笑) と思いました。
映画のラスボスも川原先生がもともとから考えていたものを、制作陣でふくらませていったそうで、『インフィニティ・モーメント』を作っている時に劇場版が出ていれば……。とも思いましたね(笑)。
基本的なゲームデザインは、最初から擬似MMORPGだったんですか?
二見 いろいろな場所でも言っていますけれど、僕は『.hack』が好きなんです。当時はニッチな部類だったんですが、擬似でオンラインゲームを遊ぶというアイデアは、受け入れられるという確信があったんです。
それをPSPでというのは……かなり無茶な話だったのではないですか?
二見 地獄でしたね。容量もですが、表示関連が本当に大変でした。中高生に向けの作品なので、みなさんが目がいいと信じたい(笑)。もし今作り直すことになったとしたら、もう少し文字を大きくしたいですね。
続いて、『ホロウ・フラグメント』のフィリアは、『SAO』の設定を生かしたおもしろいキャラクターでしたよね。カーソルカラーの話などは、いつごろ思いついたのですか?
二見 あれは原作を読んで、『インフィニティ・モーメント』の次のボスを誰にするかと考えていた時ですね。ヒースクリフのあとって、結構大変なんですよ(苦笑)。他にインパクトのある敵を……と考え、PoHを採用しました。
PoHは、レッドプレイヤーという設定だったので、その近くに居て悪に染まっていくヒロイン、悪側に居るけれど幸せになりたい女の子は、キリトとしては救っていきたい、救ったらカッコいいよねというアイデアから始まったんです。
フィリアは、『ホロウ・フラグメント』以降は、本来の性格に戻りますが、あれも最初からの設定ですか?
二見 最初からの設定ですね。長いこと過酷な生活を強いられると人間の感情って変わっていくと思うんですよ。のほほんとした人も、ジャングルでサバイバル生活になれば、生きるために野生に目覚めてしまったみたいな。そうした過酷な状況から救ってあげて、晴れて本来の明るいところが見せるという筋書きはちゃんと考えてました。
『Re:ホロウ・フラグメント』では、タイトルどおりリニューアルというか作り直しみたいな感じではありますが、PS4向けの実験という意図もあったようですね。
二見 はい、これは試験検証ですね。PS4を触ったことがなかった現場の制作スタッフが、『ホロウ・リアリゼーション』に向けて練習する意味合いがありました。なので、本来は『Re:ホロウ・フラグメント』は世に出ない予定でした。
そうだったんですね。では、なぜ発売することになったのでしょうか?
二見 当初予定したものが完成した時に、出来がとてもよかったので、アクリアさんと「これゲームとして出せるレベルですよね?」なんて話をしたんですよ。
ただ、このまま出したら、試験検証のやつでお金を取るの? ということになってしまいます。とは言え私たちとしても『SAO』という作品をお借りしている身ですので、無料で配ることはできません。そこで、ストレアの追加エピソードや新たな機能を追加して、かつ値段をかなり低く設定してご提供することにしたんです。
『ロスト・ソング』では、空を飛ぶシステムが大変だったのかな、と。
二見 一番大変だったのはレベルデザインですね。アートディンクさんには非常にがんばっていただきました。地上で動くぶんだけであれば、バランス設計がまだ楽なんです。強い順に敵を並べて、レベル上げをしてもらえばいい。
二見 でも、空を飛んで自由に移動できることにしてしまった時点で、レベルデザインが非常に難しくなってしまいました。どういうものが一番適切なのか? どうすれば気持ちよくレベル上げができるのか? 何をどこに配置するのか? といった点ですね。また、空を飛べるようにしたことで逆に情報の密度が薄まってしまうんですよ。そういう面も含めて、本当に作るのが難しかったですね。
他に『ロスト・ソング』で大変だったことはありますか?
二見 シナリオです。本当は、もう少し残酷な話にしたかったんですよ。当時やりたかったのは“集団心理”でした。セブンちゃんが、狂信者たちの教祖みたいなものをやりたくて。それを意図しない無垢な若い子が、熱狂的に持ち上げるゲームプレイヤー……という構図を作りたかったんですが、そこまでトゲトゲしくはできませんでしたね。最後、セブンちゃんは捕まる予定だったんです。
二見 ですが、それは三木さんに「やめましょう」と言われました。僕はちゃんと補導というか、刑に服するまで考えていたんです。第二の茅場を作りたかったんですよ。でもセブンちゃんがかわいかったんで、いろいろな人に止められました(笑)。
ネット犯罪って、ネット上でログを取るとか、意図していないけれどできてしまう天才っていると思うんですよ。「実験しましょう」とか、悪意のない実験が実は犯罪行為だったなんてケースもあるでしょう。
《SAO》のデータを使って、皆を幸せにするという定義の研究。戦争をなくすために洗脳プログラムみたいなものを作る……という話でしたが、セブンちゃんが捕まっていたら、以降のゲームに出ていませんし、みんなが反対してくれてよかったなと思っています。

(vol.4 その2 に続く)
【二見 鷹介】
バンダイナムコエンターテインメントCE事業部、『SAO』ゲームシリーズ総合プロデューサー。
シリーズ第1作『SAO -インフィニティ・モーメント-』からプロデューサーを担当し、現在では『SAO』ゲームシリーズ全体を総括する。
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