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電撃オンライン編集部がSAOゲームプロデューサー5名に直撃インタビュー!
第四回:二見プロデューサー(Vol.2)

最初は小さかったゲーム『SAO』チーム&もしも“添い寝”がなかったら?

二見 鷹介プロデューサー
▲二見 鷹介プロデューサー
『SAO』を始めたころは、ほぼ二見さんだけだったとのことですが、いつの間にこんな大所帯に?
二見 3年目くらいですね。『ロスト・ソング』くらいからかな。『インフィニティ・モーメント』や『ホロウ・フラグメント』の時は、まだ1人か2人くらいでした。
インフィニティ・モーメント
▲記念すべきゲームシリーズ第1弾『インフィニティ・モーメント』。こちらは初回限定生産版のパッケージアートです。
二見 『ロスト・ソング』の時に、やっとアプリゲームが動き出した感じです。そこから『ホロウ・リアリゼーション』で、一気にスタッフが増えた感じでしょうか。毎年春と夏に実施している電撃文庫のイベントにも毎回出させていただいてましたけれど、あれも最初は1人かプロモーションの担当と2人で出ていたことが思い出されますね(笑)。
今は皆さんのおかげで社内会議も20人ぐらい参加してもらえるのですが、名前覚えるのが大変です。2人でやっていた時を考えるとやれることも増えて幸せなのですが(笑)。
原作のあるゲームで、システムも変えつつここまで続くのは、かなり珍しいですよね。
このβeater's cafeのようなファンコミュニティが存在するタイトルも、なかなかないのかなと。
二見 バンダイナムコエンターテインメントのスタイルみたいなところもありますね。超有名な“あの”タイトルなどもそうですし、「このキャラクターのゲームといえばバンナムだよね!」という印象は強いと思います。
グッズ展開のひとつとしてのゲームではなくて、一緒に作品を作っていくこと、そして一緒に成長していくことを、僕らは得意としているのかなと。もちろん『SAO』は、原作とアニメチームの比重が大きめではありますが、原作・アニメ・ゲームで“一緒にやっていける仲間”という形を生み出せたのはよかったんじゃないかなと思っています。
コミュニティも積極的にやりたいと思います。ユーザーの意見や感想を直接返せる場面が当時はイベントしかなかったので。みなさんと一緒に成長させていただいています。感謝。
ゲームの制作って、発表されてから発売されるまでの期間、ユーザーの目には見えてきませんが、特にゲーム制作で一番時間がかかる部分ってどの辺りですか?
二見 昔は企画が一番大変でしたが、最近はシナリオ部分が一番大変ですね。シナリオだけで半年、プロットと合わせると大体8カ月くらいかかります。
プロットの期間は、原作チームとのやり取りも含めてこれくらいかかるという感じですか?
二見 はい。プロットの段階で、何十パターンも出させていただくので。そのなかで一番受け入れられそうかつ、僕らが一番やりたいものという形で選んでいきます。それが終わったら、シナリオの制作に入ります。物量も多いので、やはり時間はかかりますね。
何をお客さん遊んでもらうのか、どうヒロイックに遊んでもらうのか――そこを考えるのが一番難しいですね。
原作の川原礫先生は、ゲーム制作について結構踏み込んでくるタイプでしたか?
二見 そうですね。大変助かっています。「この作品って『SAO』にとって間違いじゃないですよね?」という部分を確認させていただける、僕らにとっては羅針盤的存在でした。
もちろんお忙しい方なので、シナリオを1つ1つ深くまでチェックしたいただくのは難しかったですが、プロットの段階でいくつか提示したなかで「これだったらいいのでは?」という形で話せるので、『SAO』という作品の“生みの親”としての力は、ゲームにおいても大きなウェイトを占めています。
あとはゲームを実際に遊んでいただいているので、直接的なご要望もいただいて、うれしいとともに、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです(苦笑)。
シナリオや企画的に、原作サイドから没を食らったケースなどもあるのですか?
二見 『ホロウ・リアリゼーション』ですね。これはイチから作り直しました。
そうなんですか! もともとは、どんな作品だったんですか?
二見 もともとは『インテグル・ファクター』よりも先に企画していたんですが、1層から始まる話で作っていたんです。5層までくらいが舞台で、確か20キャラくらい……シリカやリズベットもふるふるで登場する話でした。
 
▲『ホロウ・リアリゼーション』と言えば、プレミアの印象が強いですが、もともとの企画だとどんな形で登場していたのか(そもそも登場していないかも?)なども気になるところですね。
二見ゲーム開始から何日間で何が起こって……などのタイムテーブルまで開発のアクリアさんが書いてくださいました。
キリトなら《はじまりの街》を飛び出して次の村に向かっている、横のラインではシリカやリズは放心状態で立ち直れない期間が何日かあって……みたいな。
その流れで、キリトが1層目でリズやシリカに会いに行けたら?……みたいな話を考えていたんです。もうお蔵入りなので、いずれはどこかでで公開できたらなぁなんて思っています。
その企画では、主人公はキリトの想定だったんですか?
二見 キリトですね。ゲーム性も、すでにある作品で例えてしまうと、『ダーク・ソウル』みたいなアクション性の強いもで、死んだら終わり・・・的なデスペナルティは結構強めでしたね。ある程度『ホロウ・フラグメント』で積み重ねた形で、ゲームとしての進化を考えた形です。まぁ・・・夢を掲げるのはいいのですが、作るのも苦労したし、シナリオも苦労したし、企画もとおらないし……本当に大変でした(笑)。
没の理由は、どんなところだったのでしょう?
二見 長さですね。5層まででは短いと。アプリだったら、アップデートで階層を増やしていけるんですが……。本当は『ホロウ・リアリゼーション』のシステムを完成させて、1年に1度アップデートさせて5層、10層、15層……と続けていきたかったんですよ。
でも実際にやったら、何年かかるんだろう……。5年くらいかかるのかな? MMOっぽい遊びをしたかったですね。
『ホロウ・リアリゼーション』のラストで《アインクラッド》を攻略するというのは、その名残もあるのでしょうか?
二見 ある意味で名残かもしれませんね。
先ほど、川原先生に「この作品って『SAO』にとって間違いじゃないですよね?」と確認しているとお話しいただきましたが、二見さんの中で「これをやったら『SAO』じゃなくなるな」っていう部分はありますか?
二見 ありますよ。添い寝がなかったら……というのは冗談ですが(笑)、1つだけルールがあります。川原先生と三木さんから言われたんですが、“カーディナル・システムは完璧なシステムでバグを生まない”という設定を守ることですね。これは、ゲーム的な意味ではなく、設定の話です。
二見 茅場の作ったカーディナル・システムは、不具合は自分で修復してしまいますし、そんな脆弱なシステムじゃないですよ、と言われました。
シナリオ上で“バグ”って言えばいろいろ都合は付きやすいんですが、『SAO』のゲームでは、あくまで僕の目の届く範囲では、バグやシステムエラーを起こさないことが、ほぼ踏襲されているはずです。
このインタビューを読んで「あれってバグじゃなかったっけ?」という人は、ぜひ再度遊んで読み返してほしいのですが、IMの最初ぐらいですね。その他は話の流れでキャラクターたちがエラーやバグを疑うような単語が出ていても、本当の原因はそうじゃなかったり、IFルートに突入しているものは使ったりしますが、バリバリ使えれば制作は楽です(苦笑)突っ込まれそうなので、HFのフィリアはIMからの派生の同タイミングなので、きっかけが75層の分岐という形にはしてます。
LSはセブンちゃんの実験ですし、HRはアインクラッドができたのも、“修復”のためのプログラムですし。

(vol.3に続く)
【二見 鷹介】
バンダイナムコエンターテインメントCE事業部、『SAO』ゲームシリーズ総合プロデューサー。
シリーズ第1作『SAO -インフィニティ・モーメント-』からプロデューサーを担当し、現在では『SAO』ゲームシリーズ全体を総括する。
【 電撃屋 】
電撃の公式オンラインストア SAO商品が充実ラインナップ
公式HP:https://dengekiya.com/shop/b/bS1400123/
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